映画が無償に観たかったけど都心まで行くパワーがなかったので
京八前のTSUTAYAで「Dog Star」という映画を借りた。
監督は瀬々敬久というヒトで、豊川悦司、井川遥が主演。2002年の作品。
作品の出来映えだけみれば、明らかに単館系のBクラスの映画で
「なんでこうするかなぁ」というツッコミどころ満載(特に演出面)の映画なんだけど、普通に泣けた。ラストのアレはずるいですわ。
ストーリーは、
年老いた盲導犬のシロウのたった一つの願い「人間になって、昔育ててくれたパピーウォーカー(訓練前の子犬を育てるボランティア)の少女に会いたい」が叶い、人間の青年になった盲導犬が、その少女に恋をするというファンタジーな作品。
と思ってみていたら、実は結構残酷なお話だった。
犬は人間に恋してはいけない。
人間と犬では価値観は違うし、犬はどうやっても犬だ。
そして、もう一つ。
犬の寿命は人間に比べて短い。
充分に生きた老犬シロウには、もう時間は残されていなかった。
数々の冷たい現実が人間になった犬のシロウに対して突きつけられる。
はじめから救いのない恋愛。
つまり、はじめから終わりの見えているストーリーである。
その、救いのない恋愛の周囲で生み出される、数々の「死」。
恋愛映画にはありえないくらい、ちりばめられた「死」という存在。
その数々の死に振りまわされる、シロウの恋した少女、ハルカ。
この映画は、もしかしたら恋愛よりもそっちのほうをメインにしたかったんじゃないのかな。
と、あんまり書くとネタバレになるので、程ほどに。
色々と引っかかる部分は多かったけど
こういう映画もありだなぁと思い、監督について調べていたら、
なんとこの方、実は京都大学の哲学科卒にして、
ピンク映画界の異才で、「ピンク四天王」の一人と呼ばれるくらい有名な方でした。
で、この映画はめっちゃプラトニック。
いやー、なるほどねー。