僕が参加しているバンドのオリジナル曲の中に「蟲」という曲がある。
由来や背景を聞いたことは無いので、実際の意図は分からないが、
「虫」じゃなくて「蟲」というところに、何かしら作詞者の思い入れがあるのだろう。
僕がこの人生において最初に「蟲」という漢字に出会ったのは、
忘れもしない。風の谷のナウシカの王蟲だ。
蟲なんて日常生活ではまず出会わない漢字だったので、
最初は宮崎監督の造語かと思った。
蟲という字の字源は、まむしの形を象ったものらしく、
いわゆる「虫」以外に、爬虫類や節足動物も指すらしい。
「虫」という字よりも虫たる貫禄と風格を持つこの「蟲」という漢字は、
もはや王蟲という蟲の為に生まれてきたと言っても過言ではないと
小学生ながらに感動した記憶がある。
この「同じ文字を三つ重ねる」という発想はシンプルながら奥が深く、面白い。
昔から人は三という事象が好きで、
順位だと一位、二位、三位までが、大抵の場合、特別扱いになるし
世界三大とか日本三大とか、物事を三つで括りたがる。
三人集まれば何とかかんとかとか、三邪眼とか、三ヶ日、
サンバルカンや三銃士とかバミューダ・トライアングルとか。
本当に呆れるほど三が大好き。
だから漢字も四重や五重ではなく、
三重になったのだなと考えると妙に納得してしまう。
三重の漢字は意外とたくさんある。
よく日常で出てくる代表的なのだと、
森や晶、品、轟など。
確かに。どれも一つの時よりも、パワーが増している。
なんだかキングスライムみたいなものだな、
と思いながら他にも色々と調べていると
前述の字とは比にもならないような凄まじい奴らがわらわらといた。
たくさんありすぎて、書きだすと止まらなくなりそうだったので
今回はよりすぐりの動物編を紹介。
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犬が三つ。「猋」、
音読み:ひょう、訓読み:はし-る、つむじかぜ
つむじかぜという読みに少年的ドキドキ感を頂いてしまった。
これでケルベロスと読むとか読まなないとか。
牛が三つ。「犇」、
音読み:ほん、訓読み:ひし-めく、ひしひし、は-しる
人が犇めくという時にも使うらしい。
ぎゅうぎゅう詰めのぎゅうぎゅうもここから来たとか来ないとか。
羊が三つ。「羴」、
音読み:せん、訓読み:なまぐさい
なまぐさいって、羊の扱いが低すぎるような。
でもジンギスカンとかラム肉食えない人いるよね。
きっとこの漢字を作った人もラム肉食えなかったんだろう。
魚が三つ。「鱻」、
音読み:せん、訓読み:あたらしい、すくない
新鮮の「鮮」のもととなった漢字で、
新しい魚の臭いという意味もあるため、
店名にこの字を使う料理屋(魚系)さんはたまに見る。
馬が三つ。「驫」、
音読み:ひょう、ひゅう、訓読み:はしる、とどろ-く。
決して三連単、三連複という意味ではない。
青森に驫木駅という駅があるらしい。
鹿が三つ。「麤」、
音読み:そ、訓読み:あら-い、あらあら-しい、くろごめ
「鹿」が集まるのに距離をおく様から来ているらしい。
「今日は集まってくれてありがとう
まあ、なんとなく適当にバラけちゃってー」ということだろうか。
転じて、粗いという意味もあり、
玄米っていう意味もあるらしい。
で、色々ググってると面白いものを発見。
「驫麤」
初音ミクの楽曲で「トリプルバカ」と読むらしい。
ああ、馬鹿の三乗か。この発想は無かった。
さすが21世紀。
さてさて、関東では梅雨入りしましたが今日は快晴です。
暦の上ではもう夏に入っていたことに、ついさっき気が付きました。
皆さんお元気で。